独立行政法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センター イメージ
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    計測標準研究部門 .AIST
    Metrology Institute of Japan (社会基盤)
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7つの基本単位・トレーサビリティ・国際相互承認  計測標準研究部門は、計量標準管理センター(計量標準計画室、標準供給保証室、国際計量室、計量研修センター)と協力して、計測の基準(計量標準)を作り出すための研究・技術開発を行い、計量標準を社会・産業界に供給し、またわが国の計量標準を諸外国の標準とつなげる技術業務を実施しています。同時に、取引・課税・安全・規制に必要な計測器(特定計量器)の正しさを政府が確保するための業務も実施しています。
 計量標準は右上図に示した7つの基本量と、これらを基準とした様々な量から構成されます。ここで作り出された計量標準が、国内ユーザ間で同等であり、国際間でも同等となるように、各国と協力して世界的な仕組みを作っています。(トレーサビリティ・国際相互承認:右下図) 当研究部門では以下の目標のもと計量標準業務を実施します。

信頼される計量標準を早期に供給します
確実にそして継続的に計量標準を供給します
国際協力のもと計量標準の国際化に対応します
世界をリードする研究・技術開発を行います
  

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計測標準研究部門の構成
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時間周波数科 時間標準研究室  高精度周波数標準、セシウム原子時計
波長標準研究室  高精度波長標準、高分解能レーザ分光、光周波数計測、レーザ周波数安定化
周波数システム研究室  時系の高度化、高精度時刻比較、時間周波数の校正
長さ計測科 長さ標準研究室  干渉測長技術、長さ関連量の光学的計測
幾何標準研究室  幾何形状・寸法計測、表面性状計測、角度計測、ナノ・ピコメトロロジー
力学計測科 質量力標準研究室  質量・力・トルク・重力加速度の標準計測
圧力真空標準研究室  圧力・真空の標準計測
質量計試験技術室  質量計の型式承認試験及び技術基準
音響振動科 音響超音波標準研究室  音響・超音波関連量の標準、音響・超音波計測
強度振動標準研究室  振動・硬さ・衝撃値等の標準、材料の力学的特性計測
温度湿度科 高温標準研究室  高温度領域の温度の標準計測
低温標準研究室  低温度領域の温度の標準計測
放射温度標準研究室  放射温度の標準計測
湿度標準研究室  湿度の標準計測
流量計測科 気体流量標準研究室  気体の流量・流速の標準及び計測技術
液体流量標準研究室  液体の流量・体積の標準及び計測技術
流量計試験技術室  流量計・体積計の型式承認審査、試験及び技術基準
材料物性科 熱物性標準研究室  熱伝導率、熱拡散率、比熱容量、熱膨張率の計測、標準物質、薄膜、データベース
流体標準研究室  密度、粘度、液体屈折率、流体の物性計測
電磁気計測科 電気標準第1研究室  実用電気標準
電気標準第2研究室  量子電気標準
電磁波計測科 高周波標準研究室  高周波電圧・電力・回路量標準計測
電磁界標準研究室  電磁界・アンテナ標準計測
光放射計測科 レーザ標準研究室  レーザパワー/エネルギー関連パラメータの標準計測
光放射標準研究室  測光・放射測定の標準
量子放射科 放射線標準研究室  X線・γ線・放射光・β線の標準
放射能中性子標準研究室  放射能・中性子の標準
無機分析科 無機標準研究室  金属標準液、pH標準液、スペクトル分析、放射光利用分析、IDMS
環境標準研究室  組成標準物質、環境標準物質、環境汚染物質、生体微量分析、微量分析
有機分析科 ガス標準研究室  標準ガス、純度分析、高純度有機化合物、有機標準液(イオウ系)
有機組成標準研究室  有機標準液、有機系組成標準物質、環境分析、IDMS
バイオメディカル標準研究室  臨床化学分析用標準物質、バイオ計測、生化学物質、バイオ計量標準
ナノ材料計測科 表面・ナノ分析研究室  表面・薄膜標準、表面分析、マイクロビーム分析、X線薄膜計測
ナノ構造化材料評価研究室  空孔標準、イオン注入標準、陽電子・イオン分析、質量分析
粒子計測研究室  粒子・粉体の標準計測、統計的方法、不確かさ評価
計量標準システム科 有機標準基盤研究室  有機高純度物質、揮発性有機化合物、基準物質、硫黄分析、燃料、バイオ燃、JCSS
化学計量システム研究室  標準物質開発・供給システムの研究
計量標準基盤研究室  高分子標準、スペクトルデータベース、高分子特性解析、NMR
法定計量技術科  法定計量システムの制度設計、型式承認制度の合理化
計量標準技術科 校正試験技術室  計量器の基準器検査・型式承認試験、計量器・ゲージの依頼校正
型式承認技術室  計量器の型式承認審査、技術基準の国際整合、品質システムの構築



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<環境・健康・安全に対応する計測標準>
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快適な環境を守る標準物質
 環境問題に対する関心が高まるにつれ、極微量成分分析の要望が増加し、分析値の信頼性が問われています。分析値の信頼性を確保するためには、底質・河川水などの実際の環境試料と類似した試料中の成分の値が定められた組成標準物質の使用が不可欠です。有害金属、有機すず、ポリクロロビフェニル(PCB)など環境汚染物質について成分値を認証した底質標準物質をはじめとする認証標準物質の開発・供給を行っています。

人の安全に貢献するガンマ線標準
 ガンマ線やX線は、原子力施設周辺、医療診断・治療などで用いられ、それらを正確に測定することは、人の安全、健康にとって大変重要です。写真に示すグラファイト製の空洞電離箱を用いて、ガンマ線の国家標準を確立しています。放射線利用施設周辺で用いる個人モニターの値は、当研究部門の標準を基にして評価が行なわれています。

SARS拡大防止に貢献する耳式体温計校正
 耳式体温計は、人体から放射される赤外線を利用する新しい体温計です。各国空港施設等でSARS感染者の検査や診断に広く利用されています。写真は、当研究部門で開発した耳式体温計校正用の標準黒体炉システムで、移送可能な高精度標準黒体炉として、シンガポールなど海外の研究機関へも供与され、アジア諸国における SARS感染者拡大防止に大きく貢献しています。

電磁界・アンテナ標準の測定施設
 携帯電話や無線LANなど電波は私達の生活に不可欠です。その電波の電界・磁界強度や標準アンテナの値を高精度に決定するには、可能な限り周囲の電波の散乱・反射が少ない空間を実現する必要があります。オープンサイトは野外空間を利用した測定場であり、30 MHz 〜 1 GHzの測定に使用します。電波暗室は、周囲壁面と天井・床を無反射に近くした箱状(24 m×15 m×9 m)の測定場であり、40 GHzまでの測定に使用します。

化学分析に欠かせないスペクトルデータベース
 スペクトルデータベースは有機化合物を化学分析するために欠かすことのできない6種の標準スペクトル(赤外、核磁気共鳴(2種類)、質量、電子スピン共鳴およびラマン)を約33,800化合物について収録したデータベースです。これらのスペクトルは、1980年代から集積し、1997年からインターネットを通じて公開し、全世界から頻繁にアクセスされています。
http://riodb01.ibase.aist.go.jp/sdbs/cgi-bin/cre_index.cgi



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<産業に貢献する計測標準>
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半導体産業に不可欠な平面度計測
 半導体用シリコンウェファー、ハードディスク用基板、液晶ディスプレイ用ガラスなど、平面度測定の重要性が高くなっています。当研究部門で開発した平面度測定機は、フィゾー干渉方式を使って、超高精度に研磨された基準オプティカルフラットとの比較測定を行うことにより、平面度を測定します。12インチシリコンウェファーをカバーする直径310 mmの測定領域を有しています。

ロボットにも使われる高精度角度標準
 ロボットの関節やプリンターの紙送り回転など、様々な所で高精度な角度測定が行われ、多くの場所でロータリエンコーダが使われています。高精度なロータリエンコーダを校正するために、等分割平均法(益田−梶谷方式)を採用し、約0.01″の不確かさで校正できる世界最高精度のロータリエンコーダ角度自己校正装置の開発に成功しました。(静岡理工科大学、電気通信大学との共同研究)

薄膜熱物性計測技術と薄膜標準物質
 厚さ1マイクロメートル以下の薄膜の熱拡散率を測定するために、ピコ秒(1兆分の1秒)パルスレーザで薄膜と基板の界面を加熱し、熱拡散による薄膜表面の温度変化を測温用パルスレーザの反射強度変化により検出する技術を開発しています。厚さ75 nmから200 nmの金属薄膜に対して、熱が膜厚方向に拡散する様子を世界で初めて観測し(図)、信頼性の高い薄膜熱拡散率を求めることができました。本技術に基づき薄膜熱拡散率標準物質の開発を進めています。

化学分析のための共通のものさし
 化学分析の分野でもSIへのトレーサビリティが重要になっています。SIへのトレーサビリティを実現するための一次標準測定法に位置づけられ得る方法として、滴定法、重量分析法、電量滴定法が特に無機分析の分野で重要な役割を果たします。例えば、多くの無機標準液にEDTAキレート滴定法を適用して、モルを直接比較することができます。重量分析法は究極的にはキログラム原器にトレーサブルな方法です。電量滴定法はファラデーの法則に基づいており、標準物質を用いないで電流と時間からモルを実現できる方法です。



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<新しい計測標準>
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2000万年に1秒も狂わない原子時計
 原子の熱運動は、時間標準の精度を制限する最大の要因でした。当研究部門ではレーザ光の圧力を用いて原子の動きを止めることで、2000万年に対し1秒のずれも生じない高精度な原子時計を開発しました。この高精度原子時計は、今日の時間のおおもとである協定世界時の進み方を監視し校正するのに使われます。

kg原器に代わる新しい質量標準の提案
 SI基本単位の中で質量の単位であるkgのみが人工物であるkg原器によって定義されています。このkg原器に代わる炭素1原子当たりの質量を基準とする原子質量標準を実現するために、X線結晶密度法によるアボガドロ定数の決定を行っています。現在、1kgに研磨されたシリコン球の直径を測定するレーザ干渉計(写真)等の開発を進めています。

1000 ℃を超える超高温の新しい温度目盛
 宇宙・航空機用材料、原子力材料、核融合などの分野での技術開発には1000 ℃を越える温度の目盛が不可欠です。従来、約1100 ℃までは温度の目盛の実現に使用する温度定点が定められていました。当研究部門では、金属と炭素の合金が3000 ℃を越える温度域まで温度定点となることを世界に先駆けて発表しました。写真中左には、イリジウム-炭素の共晶合金をその融点約2300 ℃ の状態で鋳込んだ黒体から放射される光が見えます。同右の放射温度計はこの光の放射強度を基準として、その目盛の校正を受けているところです。

世界初、液体ヘリウムフリーの電圧標準
 次世代の電圧標準として、小型冷凍機によって約10 Kで動作させることのできるNbN/TiN/NbN素子を採用した“液体ヘリウムフリー・プログラマブル・ジョセフソン電圧標準”の開発を行っています。この方式を用いると、従来不可欠であった液体ヘリウムが不要になるばかりでなく、装置価格、維持経費の大幅低減が可能となります。近い将来、100 Vの交流電源さえあれば、どこでも高精度電圧を発生することができるようになります。(エレクトロニクス研究部門との協力)

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