基礎物理定数(以下、基礎定数)は、自然現象を記述するための基本的な方程式に、不可欠な定数として入ってくるものである。 具体的には、電気素量e 、プランク定数h 、微細構造定数 α 、リュードベリ定数R∞ 、万有引力定数G などである。また、ある基礎定数は、他の基礎定数の組み合わせで表される場合がある。
基礎定数に関する情報は、いろいろな実験から得られる。ある時点で、これら様々な実験(場合によっては理論)から求められた 結果を整理し、比較・検討し、お互いにつじつまが合っているかを確かめる作業(すなわち基礎定数の調整作業)は、我々が自然理解の手段として頼りにしているモデルの妥当性を確かめることに他ならず、基礎物理学の基盤のチェックとして極めて重要な意味がある。このような調整を経て決められた基礎定数の推奨値のセットは、人間が作ったSI単位と自然のものさしとの換算係数ともいえる。
2010年の調整による主な基礎物理定数の推奨値
| 定 数 |
記 号 |
推奨値(注) |
単 位 |
相対標準
不確かさ( 1σ ) |
| 真空中の光速度 |
c,c0 |
299 792 458 |
m・s-1 |
(定義値) |
| 真空の透磁率 |
μ0 |
4π×10-7
=12.566 370 614・・・×10-7 |
N・A-2 |
(定義値) |
| 真空の誘電率 |
ε0 |
1/μ0c2=8.854 187 817・・・×10-12 |
F・m-1 |
(定義値) |
| 万有引力定数 |
G |
6.673 84(80)×10-11 |
m3・kg-1・s-2 |
1.2×10-4 |
| プランク定数 |
h |
6.626 069 57(29)×10-34 |
J・s |
4.4×10-8 |
| h/2π |
|
1.054 571 726(47)×10-34 |
J・s |
4.4×10-8 |
| 電気素量 |
e |
1.602 176 565(35)×10-19 |
C |
2.2×10-8 |
| 磁束量子 |
φ0 |
2.067 833 758(46)×10-15 |
Wb |
2.2×10-8 |
| コンダクタンス量子 |
G0 |
7.748 091 7346(25)×10-5 |
S |
3.2×10-10 |
| 電子の質量 |
me |
9.109 382 91(40)×10-31 |
kg |
4.4×10-8 |
| 陽子の質量 |
mp |
1.672 621 777(74)×10-27 |
kg |
4.4×10-8 |
| 陽子-電子質量比 |
mp/me |
1836.152 672 45(75) |
|
4.1×10-10 |
| 微細構造定数 |
α |
7.297 352 5698(24)×10-3 |
|
3.2×10-10 |
| その逆数 |
α-1 |
137.035 999 074(44) |
|
3.2×10-10 |
| リュードベリ定数 |
R∞ |
10 973 731.568 539(55) |
m-1 |
5.0×10-12 |
| アボガドロ定数 |
NA,L |
6.022 141 29(27)×1023 |
mol-1 |
4.4×10-8 |
| ファラデー定数 |
F |
96 485.3365(21) |
C・mol-1 |
2.2×10-8 |
| 気体定数 |
R |
8.314 4621(75) |
J・mol-1・K-1 |
9.1×10-7 |
| ボルツマン定数 |
k |
1.380 6488(13)×10-23 |
J・K-1 |
9.1×10-7 |
| シュテファン-ボルツマン定数 |
σ |
5.670 373(21)×10-8 |
W・m-2・K-4 |
3.6×10-6 |
| 原子質量定数 |
mu |
1.660 538 921(73)×10-27 |
kg |
4.4×10-8 |
| ジョセフソン定数 |
KJ |
483 597.870(11)×109 |
Hz・V-1 |
2.2×10-8 |
| フォン・クリッツィング定数 |
RK |
25 812.807 4434(84) |
Ω |
3.2×10-10 |
(注):( )は標準不確かさを表す。例えば 6.6742(10)×10-11は、値が 6.6742×10-11、標準不確かさが 0.0010×10-11の意味である。
ここにあげた表は、科学技術データ委員会(CODATA : Committee on Data for Science and Technology)の基礎物理定数作業部会(Task Group on Fundamental Physical Constants)から発表された基礎物理定数の表である。この調整は2010年までに報告された実験データを考慮したもので、“2010年の調整”と呼ばれている。
CODATA Internationally recommended values of the Fundamental Physical Constants (NISTのページ) |