計量標準総合センター : National Metrology Insutitute of Japan (NMIJ)

計量標準とは

「計量標準」という言葉は「(ものを測る)ものさし」の広い意味で使われる場合や、計測の際に使用される具体的な「標準器」を示す意味で使われる場合があります。

前者として捉えた場合、「計量標準」と言う言葉は以下のように説明されています。

計量標準は、「ものを測るものさし」として、国がそれらの基準を定め、国民生活、事業活動、研究活動に幅広く利用されています。
 経済産業省ウェブサイト 計量標準ポータルサイトより
 (http://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/k-portal-index.html


長さ、質量等計量標準は、ものを測る基準となる「ものさし」であります。国民生活や社会経済活動において、計量標準は幅広く利用され、我が国の国際競争力の維持・強化、イノベーション促進、企業活動 の信頼性向上、中堅・中小企業のものづくり基盤、国民生活の安全・安心の確保等に貢献しています。

 (中略)

また、企業の研究・開発・設計・製造・検査・販売・廃棄・リサイクル等一連の事業活動においても、ものを測ったり分析する際の基準となる「ものさし」として、事業活動の効率化、製品の品質管理、 国内外の取引・証明の円滑化等を支え、企業活動の信頼性向上、国際競争力の確保等に貢献しています。
 知的基盤の活用事例集 「1. 計量標準とは」より(平成24年8月、経済産業省 産業技術環境局知的基盤課、p. 2記載)

また、この意味で捉えた場合、計量トレーサビリティーを維持するしくみも「計量標準」の一部として含む場合があります。

一方、「計量標準」を後者として捉えた場合、それは公的に取り決めた測定標準の事となります。例えば、国際的な合意によって認められた国際標準や、国家計量標準器等がこれに該当します。

参考
  1. 計量
  2. 公的に取り決めた測定標準を基礎とする計測
  3. (測定)標準
  4. 基準として用いるために、ある単位又はある量の値を定義、実現、保存又は再現することを意図した計器、実量器、標準物質又は測定系。
    出展 JIS Z 8103: 2000

基本単位の標準  ⇒ 最新動向はこちら(計測自動制御学会誌転載許諾)  

図
本単位の脇に示した数字は、単位実現の不確かさ (k = 2) を表しています。

国際単位系(SI) は、次元的に独立であるとみなされる七つの量、長さ質量時間電流熱力学温度物質量及び光度について明確に定義された単位、メートル(m)、キログラム(kg)、秒(s)、アンペア(A)、ケルビン(K)、モル(mol)、カンデラ(cd)を基礎として構築されています。

これらの単位を基本単位(base units)といい、右の図に示したように、基本単位以外の単位は複数の基本単位の結合によって定義され、これを組立単位(derived units)といいます。

トレーサビリティ・JCSS

JCSS(計量法トレーサビリティ制度)

JCSSは国家計量標準にトレーサブルな計量標準の供給を目的とした計量器等(計量器、標準物質)の校正に関する制度で、「計量標準供給制度」と「校正事業者登録制度」から成っています。

トレーサブル

測定器は標準器によって校正され、その標準器もより正確な(不確かさがより小さい)標準器によって校正される、というようにより正確な標準器をもとめていくと国家標準に辿り着きます。このように、測定器が校正の連鎖によって国家標準に辿り着けることが確かめられている場合、この測定器により得られた結果は国家標準にトレーサブルであるといいます。

国家標準の整備

必要とする全ての測定器、分析装置を国家標準にトレーサブルとするためには、対応する全ての国家標準が整備されていなければなりません。この要件を満足するために、計量標準総合センターでは国家標準の整備を精力的に進めています。

参考
物理標準の整備計画 、標準物質の整備計画
 

日本の国家標準は計量法においては特定標準器、特定標準物質と定められ、個々の標準は経済産業大臣によって指定・告示されています。

校正機関の登録(計量法校正事業者登録制度)

国家標準にトレーサブルであることの確保には、国家標準と現場(工場、研究機関など)の標準の間で、標準を標準で校正する業務の信頼性確保が必要不可欠です。標準器の校正あるいは標準物質の生産には特定の技術が必要であり、備える設備および技術と設備を管理する品質システムを備えている必要があります。

これらの要件を満足している機関に対して独立行政法人製品評価技術基盤機構が、一定の審査を行い校正事業者を登録しています。登録事業者が備える標準器または標準物質は、上記の特定標準器または特定標準物質にトレーサブルです。

校正機関を登録する制度を「校正事業者登録制度」と称しています。

詳しくは、JCSSホームページを参照して下さい。

トレーサビリティ

トレーサブル(traceable)の名詞がトレーサビリィティ(traceability)です。これは計測器の信頼性が、それを校正する標準が国家標準まで辿れることが確保されている、と証明されていることです。認定された校正機関を利用することによって、途中の校正の連鎖を意識することなく、トレーサビリティが確保されることになります。

当センターが発行する基準器検査成績書と計量トレーサビリティの関係について

VIM(国際計量用語集、ISO/IEC GUIDE99)が新たに発行されるなど、計量トレーサビリティの概念が、ますます明確になってきました。当センターはこれに基づいて下記の点を明言します。

「計量標準総合センターが発行する基準器検査成績書をもって、計量トレーサビリティの根拠とすることはできません。」

基準器検査成績書をご利用の皆様におかれましては、ご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。
詳しくは、平成20年3月27日のお知らせを参照してください。

不確かさ

「不確かさ」とは、1990年代に入ってから利用されるようになった、計測データの信頼性を表すための新しい尺度です。従来から、「誤差」や「精度」といった概念が計測の信頼性を表すために用いられてきました。しかし、技術分野や国によってこれらの使われ方がばらばらだったため、国際度量衡委員会のイニシアティブにより、計測データの信頼性を評価・表現する方法の統一に向けた取り組みが行われました。その成果として、1993年に、計測に関わる主要な7国際機関からの共同出版の形で"Guide to the Expression of Uncertainty in Measurement(計測における不確かさの表現ガイド)"が世に出ました。このガイドは、英文タイトルの頭文字をとってしばしばGUM(ガム)と呼ばれています。

GUMでは、不確かさを、計測によって得られる私たちの知識の曖昧さの程度をあらわすものとし、その定量的評価のための手順を詳しく説明しています。その基本的な考え方は、様々な不確かさ成分を、

A)標準偏差の計算という通常の統計解析によるAタイプ評価
B)データ以外の様々な情報から、標準偏差に相当する大きさを推定するBタイプ評価

のどちらかの方法で求め、これらを合成することにより、全体としての不確かさを求めようというものです。

不確かさは、計測データの信頼性が重要な意味をもつ様々な技術的、学術的文書の中で利用されるようになっており、また、ISO 9000(品質システム)、ISO 17025(校正・試験機関の能力に対する一般的要求事項)などの規格のなかではその評価が必須のものとして要求されています。


不確かさWeb 計量標準基盤研究室

Uncertainty of Measurement Results NIST
(参考)独立行政法人製品評価技術基盤機構のホームページでは、校正の不確かさに関する解説やガイドを含む多くの文書を公開しています。

計測における不確かさの表現のガイド(飯塚幸三監修、日本規格協会




国際単位系(SI: The International System of Units)

国際計量標準の書庫

国際計量標準に関わる様々な知識を共有することは、経済・技術のグローバル化を図るための第1歩です。

国際単位系(SI)についてのサイト
計量標準の単位の統一は、メートル条約の主目的ですが、国際単位系(SI)はこれを実現し、技術分野、国、経済、文化の違いを越えて、そしてまた常に技術革新を捉えることにより、時代をも超えて普遍的な国際計量標準を作り出すための方法手引き書です。
実際、わが国を始めとする先進国においても、計量法等として、様々な技術に関する活動において参照されています。計量標準総合センターは国際度量衡委員会と密接な連携をとりながら、その改訂に参画するとともに、常に新しい国際単位系を皆さんにお届けします。

SI文書
2006年に改訂が行われました。その原文「SI文書」"SI brochure -8th Edition-"は、国際度量衡局(BIPM)ホームページのSI単位のサイトで閲覧することができます。

《邦訳 第8版SI文書》

第8版SI文書の日本語訳「コンサイスサマリー」は、こちら(PDF 157KB)をご覧ください。 [正誤表はこちら]
第8版SI文書の日本語訳「本文」は、こちら(PDF 530KB)をご覧ください。 [正誤表はこちら]

SIパンフレット「国際単位系(SI)は世界共通のルールです」

国際単位系の沿革

メートル法のもつ完結性・合理性・統一性による優位性は世界で認められ、徐々に受け入れが進みました。その結果メートル系とされる単位系にも、絶対系(物理系)と重力系(工学系)、静電系と電磁系、有理系と非有理系、CGS系とMKS系、さらに3元系、4元系、5元系などのような多くの単位系が生まれ、様々な不都合が生じました。これら科学・技術・通商・安全などの計測に関わる諸問題を国際的な円滑化を進めるために、第9回CGPM(1948)はCIPMに対して、

計量単位の完全な規則の確立を検討すること
この目的のためにあらゆる国の科学,技術及び教育の各界における意見について公的な調査を開始すること
メートル条約の全加盟国が採用しやすい一つの実用計量単位系の確立について勧告を行うことを

指示し、このときCGPMは単位記号の表記についての一般的な原則を定め、その固有の名称をもった諸単位についての一覧表を公布しました。さらに第10回CGPM(1954)は、六つの量(長さ、質量、時間、電流、熱力学温度及び光度の単位)を実用単位系の基本単位として採用し,さらに第14回CGPM(1971)は物質量の単位を実用単位系の基本単位として追加採用しました。
第11回CGPM(1960)はこの実用単位系に,国際単位系“Le Système International d'Unitès”という名称と略称SIを採用し,接頭語,組立単位,以前から採用されていた補助単位についての規則、並びにその他の指示事項を与えました。このようにして計量単位のまとまった規則が確立されました。

今日のSIに至るまでの各歴史的段階での主要な事項は、以下のように要約できます。

フランス革命の時代における十進法によるメートル法の創設,引き続き1799年6月22日付けでのメートルとキログラム原器の国立公文書館への保管。
物理学者達の推奨を受けた英国科学振興協会(BASS)による,物理学における一貫性のある単位系として,天文学から定義される秒を合わせたcm,g,sによる三元系単位系としてのCGS単位系とそれら単位の10進の倍量及び分量を与えるマイクロからメガまでの接頭語の導入に関する提案。
第1回CGPM(1889)によるCGS単位系と同様のm,kg,sを基本単位とする力学系の三元MKS単位系の提示。
ジオルジ(Giorgi)(1901)による,アンペア又はオームのような第四の電気系単位を基本単位に加えた一貫性のある有理化四元系単位系の提案。
CIPM(1946)によるメートル,キログラム,秒及びアンペアに基づいた四元系単位系(MKSA単位系)の承認。
第10回CGPM(1954)による長さ(メートル),質量(キログラム),時間(秒),電流(アンペア),熱力学温度(ケルビン),光度(カンデラ)に基づいた六元系国際単位系の採択。
第14回CGPM(1971)に国際純正・応用化学連合(IUPAC)の要請に基づいて,物理化学分野への対応を図るため導入した物質量の単位“モル”の基本単位への追加。

上記のような変遷を経て、七元系による今日のSIの骨格が定まりました。

現在のSIのあらまし

SIが今日のように広い指示を得るに至った特長は,次の4点と考えられます。

(1) 各分野の基礎となる合理的で信頼度の高い実現性(再現性)をもつSI基本単位が選ばれている。
(2) 組立量の単位(組立単位)が基本単位の乗除だけで組み立てられる一貫性のある単位系(例外的に,セルシウス温度の単位セルシウス度 ℃ は組立単位に位置づけられている)で,各量の単位相互の換算関係に数係数が入り込まず簡明である。
(3) 多数定義されるSI組立単位の中で,22個の単位に固有の名称とその独自の記号を与えている。
(4) SI単位の10-24から1024までの大きさの分量・倍量単位を表すための20個のSI接頭語を導入し,実用上手頃な大きさの単位を作ることができる。

SIは7つのSI基本単位(表1)と所定の量の定義にしたがってこの基本単位から作られるSI組立単位を構成要素とする集合と,20個のSI接頭語及びそれによって作られる10の整数乗倍の大きさを意味する倍量及び分量単位によって構成されています。


表1 基本単位
単位の名称 単位記号
長 さ メートル m
質 量 キログラム kg
時 間 s
電 流 アンペア A
温 度 ケルビン K
物質量 モル mol
光 度 カンデラ cd


表2はSI組立単位のうちで固有の名称とその独自の記号を与えた量とその単位である。


表2 固有の名称とその独自の記号によるSI組立単位(22個)
単位の名称 単位記号 基本単位による表現
平面角 ラジアン rad m·m-1=1
立体角 ステラジアン sr m2·m-2=1
周波数 ヘルツ Hz s-1
ニュートン N m・kg·s-2
圧力、応力 パスカル Pa m-1·kg·s-2
エネルギー、仕事、熱量 ジュール J m2·kg·s-2
電力、工率、放射束 ワット W m2·kg·s-3
電荷、電気量 クーロン C s·A
電位差(電圧)、起電力 ボルト V m2·kg·s-3·A-1
静電容量 ファラド F m-2·kg-1·s4·A2
電気抵抗 オーム Ω m2·kg·s-3·A-2
コンダクタンス ジーメンス S m-2·kg-1·s3·A2
磁束 ウェーバ Wb m2·kg·s-2·A-1
磁束密度 テスラ T kg·s-2·A-1
インダクタンス ヘンリー H m2·kg·s-2·A-2
セルシウス温度 セルシウス度 K
光束 ルーメン lm m2·m-2·cd = cd
照度 ルクス lx m2·m-4·cd = m-2·cd
(放射性核種の)放射能 ベクレル Bq s-1
吸収線量·カーマ グレイ Gy m2·s-2 (=J/kg)
(各種の)線量当量 シーベルト Sv m2·s-2 (=J/kg)
酵素活性 カタール kat s-1·mol
 

これらは単位の使用頻度,歴史的なもの,さらに同じ次元をもつ他の組立単位との明確な区別を考慮して導入されたものである。この表で,平面角の単位ラジアンrad及び立体角の単位ステラジアンsrは長らくSI補助単位として基本単位に準じるものとして位置づけられていたが,第20回CGPM(1995)で平面角,立体角を同じ次元の量(長さ又は面積)の比で表される無次元量に対する組立単位(数字の)1に与える固有の名称及びその独自の単位記号とすることが採択され,第21回CGPM(1999)で酵素活性の単位モル毎秒mol/sを固有の名称カタールとその単位記号katとすることが採択された。上述したように,セルシウス度℃は特別に意味がある。他の組立単位が基本単位の乗除によって導かれるのに対し,熱力学温度TのケルビンKによる値とセルシウス温度t のセルシウス度℃による値は一定数273.15の差をもつように(t/℃=T/K-273.15として)定義されているからである。また温度差を表すときの単位は,Kと℃は全く同じ意味をもっている。
一般の組立単位の表示には,表2の単位をその中に含むこと(例えば,粘度の単位はパスカル秒Pa·s,力のモーメントの単位はニュートンメートルN·mなど)ができる。
上記の基本単位及び組立単位はすべてSI単位であるが,その単位で表された数値の大きさを実用的な量として理解するのに便利なようにSIでは,10の整数乗倍の大きさの倍量・分量単位を作るための20個のSI接頭語を与えており表3に示す。


表3 SI接頭語
乗数 接頭語 記号
乗数 接頭語 記号
1024 ヨタ Y
10-1 デシ d
1021 ゼタ Z
10-2 センチ c
1018 エクサ E
10-3 ミリ m
1015 ペタ P
10-6 マイクロ µ
1012 テラ T
10-9 ナノ n
109 ギガ G
10-12 ピコ p
106 メガ M
10-15 フェムト f
103 キロ k
10-18 アト a
102 ヘクト h
10-21 ゼプト z
101 デカ da
10-24 ヨクト y
 

SI では一つの量に対して一つの単位だけを採用することを原則としているが,社会通念・歴史的観点から今後ともSI と併用される特別に重要な10個の単位を提示している。また加えて原子物理学及び天文学で用いる3個の単位をSI 単位との換算関係を与えて採用している。これらを纏めて表4に示す。


表4 SIと併用されるがSIに属さない単位
名称 記号 SI単位による値
min 1 min=60 s
h 1 h=60 min=3600 s
d 1 d=24 h=86 400 s
° 1°=(π/180) rad
1′=(1/60)°=(π/10 800) rad
1″=(1/60)′=(π/648 000) rad
リットル l,L 1 L=10-3m3
トン t 1 t=103 kg
ネーパ Np 1 Np=1
ベル B 1 B=(1/2)ln 10(Np)


体積の単位リットルに記号l とLの2つが併用されている。大文字のLは小文字のl と数字の1の混同を避けるために,第16回CGPM (1979)で暫定的に導入され,そのときの決議で,l とLの使用状況を見ながら,どちらか一方を削除することになっているが,その決着を見ないまま現在に至っている。
SI の使い方はCIPMとISOによって定められているが,実用上のルールは国際規格ISO 1000,日本工業規格JIS Z 8203[国際単位系(SI)及びその使い方]に規定されている。その要点を以下に述べる。
1. 単位記号の使い方
(1) 書体は立体活字(ローマン体)で,人名に由来する場合には記号の最初の文字のみ大文字,他は小文字[例:m, s, cd, N, Pa,Hzなど]とする。
(2) 単位記号には終止符を付けない。複数形も変化しない。ただし文章の終わりに単位が示されるときは終止符があっても良い。
(3) 2つ以上の単位の積で新しい単位を表現する場合は,N·m,N.m,N m のいずれかの記法を用いる。ただし,単位記号と接頭語記号が同じとなるm,T,hが使われる場合は誤解が生じないように注意する。
(4) 単位同士の商の形で新しい単位を表現する場合は次のいずれかの記法を用いる。
ただし,斜線による記法では,同一行に2つ以上の斜線を入れてはいけない。複雑な構成の単位の場合は負のべき乗又は括弧を用いる。
例: m/s2又はm·s-2      (m/s/sは不適切)
J/(mol·K)又はJ·mol-1·K-1 (J/mol/Kは不適切)
2. 接頭語の使い方
(1) 接頭語は適当な大きさの単位を作るために自由に選択できる。原則的にはその単位で表される量の値が0.1と1000の間に入るような接頭語を選択する。ただし,同一の量を同じ文章中・論文等での比較・表現する場合はこの原則に従わなくても良い。
(2) 接頭語は1つだけを用い,μμFやmmmのように2つ以上重ねてはならず,pFやnmのように表す。なお質量の単位キログラムkgはすでに接頭語が付いているので,
10-6 kgを示すのに,μkgのようにではなくmgのようにグラムに接頭語を付ける。
(3) 2つ以上の単位を組み合わせて表現する単位にも同様,接頭語を1つだけ用いる。ただし,ISO 1000(及びJIS Z 8203)では分母にあるkgは基本単位であるから,接頭語付きの単位と見なさない。
(4) 接頭語の記号は立体(ローマン体)文字とし,単位記号との間に間隙を置かずに表記する。
(5) 接頭語付きの単位に指数が付されているときは,その指数は1 cm3 = (10-2 m)3 = 10-6 m3,あるいは,1 μs-1 = (10-6 s)-1 = 106 s-1のように,母体となる単位と接頭語の両方に累乗が掛かる。
以上のルールは固定化されたものでなくより合理的に修正される可能性はある。SI自体も決して完成したものではなく,CIPMの諮問委員会の1つである単位諮問委員会(CCU)は,今日のグローバルな社会の要請にしたがって他の国際的機関と連携しながら,より統一的で合理的な単位系への進化を図るべく活動している。標準の正確さの向上についてもキログラム原器のように物体によらない物理学的現象を利用したより普遍的な標準に向上させるための研究がそれぞれの分野で進められている。例えば電気分野の事実上の標準は,SIで定義される電流のアンペアAでなく,基礎物理定数に基礎を置く量子標準から導かれるジョセフソン効果による電圧のボルトV,量子ホール抵抗によるオームΩによって標準が設定されている。
「計量標準100周年記念誌 1.4 現在の国際単位系(SI)」より

International System of Units (SI) (NISTのホームページ)

品質システム

品質システムの意味としてISO 8402「品質管理及び品質保証-用語」には、「品質管理を実施するために必要となる組織構造、手順、プロセス及び経営資源」と記されています。
即ち、品質システムは、先ず最高位の経営者が品質管理に必要な経営資源・組織構造を含む品質方針、目標及び責任を定めて、これに基づき策定された品質計画、品質管理手法、品質保証及び品質改善などを行う総合的な経営機能の業務を指しています。
品質システムは、自己宣言によって構築できます。しかしながら、社会一般で容易に受け入れられる品質システムとするには、システムを構成する各要因の正当性、妥当性及び透明性の表明及び文書化が必要です。この目的のために、国際標準化機構(ISO)では、様々な分野に応じた品質システム構築への一般要求事項を規格化して、その利用を推奨しています。この規格には、例えば一般産業の製造者用としてISO 9000 (JIS Q 9000)シリーズが、計測機器等の校正・試験所用としてISO/IEC 17025 (JIS Q 17025)が、標準物質生産者用としてISO Guide 34 (JIS Q 0034)が、また環境用にISO 14000 (JIS Q 14000)シリーズがあります。
計量標準総合センター(NMIJ)並びにJCSS認定校正機関、JNLA及びJAB認定試験所が計測機器等の校正・試験業務の品質システムの構築・実施に適用しているISO/IEC 17025が、品質システムに要求している指針は、端的に表現すれば次の4項目に要約できます。

校正・試験業務の諸手続を文書化して、実施した業務内容の公平さと透明性を確保する。
校正・試験方法及びデータ解析・評価方法を文書化して、校正・試験結果の正当性を表明する。
苦情・不適合業務をなくし、依頼者の満足度を確保・維持する。
個々の校正・試験業務に関する業務記録を維持する。

 JIS Q 17025の要求内容は、品質管理体制要求事項と技術的要求事項との2つに大別できます。
規格の第4項は、品質管理体制への要求事項で、組織、品質システム、文書管理、依頼・入札等の契約内容の確認、試験・校正の下請負契約、サービス及び供給品の調達、依頼者へのサービス、苦情、不適合の業務管理、是正処置、予防処置、業務記録の管理、内部監査、並びに、マネジメント・レビューについて記述されています。
規格の第5項は、技術的要求事項で、要員、施設及び環境条件、校正・試験方法及び方法の妥当性確認、設備・機器、測定のトレーサビリティ、サンプリング、校正・試験品目の取扱い、校正・試験結果の品質保証、並びに、結果の報告について記述されています。
独立行政法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJ/AIST)は、経済産業省 工業技術院傘下の旧研究所(計量研究所、電子技術総合研究所、物質工学工業技術研究所)が行ってきた標準に関する世界水準の開発研究及び標準の設定・維持・供給業務を継承した、我が国を代表する国家標準機関です。従って、当センターが行う校正・試験及び標準物質の提供は、国民の生活・健康・安全に重要な役目を果たすと同時に、我が国のトレーサビリティの根幹を成すものです。
当センターでは、これらの重要性を十分に認識し、その信頼性を確保するため、計量器等の校正・試験業務に関してはISO/IEC 17025に、また標準物質生産業務に関してはISO Guide 34にそれぞれ適合する品質システムを備え、運営しています。
また、当センターでは、次のような業務分担で品質システムの組織を構成して総合的に運営・管理しています。品質システムの管理・運営は、計量標準管理センター標準供給保証室が担当しています。計量器等の校正・試験及び標準物質生産に係る実務は、計測標準研究部門の各科・研究室が担当しています。

基礎物理定数

 基礎物理定数(以下、基礎定数)は、自然現象を記述するための基本的な方程式に、不可欠な定数として入ってくるものである。 具体的には、電気素量e 、プランク定数h 、微細構造定数 α 、リュードベリ定数R 、万有引力定数G などである。また、ある基礎定数は、他の基礎定数の組み合わせで表される場合がある。
基礎定数に関する情報は、いろいろな実験から得られる。ある時点で、これら様々な実験(場合によっては理論)から求められた 結果を整理し、比較・検討し、お互いにつじつまが合っているかを確かめる作業(すなわち基礎定数の調整作業)は、我々が自然理解の手段として頼りにしているモデルの妥当性を確かめることに他ならず、基礎物理学の基盤のチェックとして極めて重要な意味がある。このような調整を経て決められた基礎定数の推奨値のセットは、人間が作ったSI単位と自然のものさしとの換算係数ともいえる。

2010年の調整による主な基礎物理定数の推奨値
定 数 記 号 推奨値(注) 単 位 相対標準
不確かさ( 1σ )
真空中の光速度 c,c0 299 792 458 m・s-1 (定義値)
真空の透磁率 μ0 4π×10-7
=12.566 370 614・・・×10-7
N・A-2 (定義値)
真空の誘電率 ε0 1/μ0c2=8.854 187 817・・・×10-12 F・m-1 (定義値)
万有引力定数 G 6.673 84(80)×10-11 m3・kg-1・s-2 1.2×10-4
プランク定数 h 6.626 069 57(29)×10-34 J・s 4.4×10-8
h/2π ћ 1.054 571 726(47)×10-34 J・s 4.4×10-8
電気素量 e 1.602 176 565(35)×10-19 C 2.2×10-8
磁束量子 φ0 2.067 833 758(46)×10-15 Wb 2.2×10-8
コンダクタンス量子 G0 7.748 091 7346(25)×10-5 S 3.2×10-10
電子の質量 me 9.109 382 91(40)×10-31 kg 4.4×10-8
陽子の質量 mp 1.672 621 777(74)×10-27 kg 4.4×10-8
陽子-電子質量比 mp/me 1836.152 672 45(75)   4.1×10-10
微細構造定数 α 7.297 352 5698(24)×10-3   3.2×10-10
その逆数 α-1 137.035 999 074(44)   3.2×10-10
リュードベリ定数 R 10 973 731.568 539(55) m-1 5.0×10-12
アボガドロ定数 NA,L 6.022 141 29(27)×1023 mol-1 4.4×10-8
ファラデー定数 F 96 485.3365(21) C・mol-1 2.2×10-8
気体定数 R 8.314 4621(75) J・mol-1・K-1 9.1×10-7
ボルツマン定数 k 1.380 6488(13)×10-23 J・K-1 9.1×10-7
シュテファン-ボルツマン定数 σ 5.670 373(21)×10-8 W・m-2・K-4 3.6×10-6
原子質量定数 mu 1.660 538 921(73)×10-27 kg 4.4×10-8
ジョセフソン定数 KJ 483 597.870(11)×109 Hz・V-1 2.2×10-8
フォン・クリッツィング定数 RK 25 812.807 4434(84) Ω 3.2×10-10

(注):( )は標準不確かさを表す。例えば 6.6742(10)×10-11は、値が 6.6742×10-11、標準不確かさが 0.0010×10-11の意味である。

ここにあげた表は、科学技術データ委員会(CODATA : Committee on Data for Science and Technology)の基礎物理定数作業部会(Task Group on Fundamental Physical Constants)から発表された基礎物理定数の表である。この調整は2010年までに報告された実験データを考慮したもので、“2010年の調整”と呼ばれている。


CODATA Internationally recommended values of the Fundamental Physical Constants (NISTのページ)

アルコール表

国際アルコール表(OIML R22:1975)
※特定計量器検定検査規則改正に伴い、平成24年3月1日以降、酒精度浮ひょうには、当表が適用されます。

参考
エタノール水溶液の濃度と密度の対照表(旧表)及び指示値の読み替え表