放射線測定の信頼性について放射線測定の信頼性について

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2011一般公開特別講演スライド
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2.計測の信頼性:放射線の場合

 1章で述べた計測の信頼性の基礎は、放射線計測に対しても当てはまります。すなわち、計測器のトレーサビリティと使い方、ならびに測定者の技能について十分に留意する必要があります。

2.1 放射線計測のトレーサビリティと国際相互承認

 

放射線計測器の校正には、標準線源を用います。放射能強度をあらかじめ測定した標準線源を用いて、計測現場で使われる放射線計測器の校正を行います。図3は、放射能計測のトレーサビリティ体系です。

日本国内の体系では、(財)日本分析センターや(社)日本アイソトープ協会の標準器が産総研NMIJの国家標準に対してトレーサブルになっています。

国際原子力機関(IAEA)は主要国の国家計量機関にトレーサブルとなっています。日本を含めた各国計量機関とIAEAの校正能力は国際比較によって正確さを互いに確認し合い、国際的に相互承認されています。

セシウム137(Cs-137)などの放射能に関する国際比較の結果を図4〜6に示します。産総研の測定結果は、外国の主要機関と一致しており、このことが、日本と外国との間で測定結果を相互に承認しあう根拠となっています。

(国際度量衡委員会相互承認取決めCIPM MRAに参加する国家計量機関の間で実施された国際比較の結果は、国際度量衡局BIPMの基幹比較データベース(KCDB)にて、広く一般に公開されています。)

放射能計測の国際的トレーサビリティ体系の図
図3 放射能計測の国際的トレーサビリティ体系
セシウム137(Cs-137)放射能の国際比較結果の図
Ref.) G. Ratel, et al., Activity measurements of the radionuclide 137Cs for the NMIJ, Japan and the IRMM, Geel in the ongoing comparison BIPM.RI(II)-K1.Cs-137 and update of the KCRV. ( http://kcdb.bipm.org/appendixb/appbresults/bipm.ri(ii)-k1.cs-137/bipm.ri(ii)-k1.cs-137_final_report(2).pdf )
図4 セシウム137(Cs-137)放射能の国際比較結果
図5 よう素131(I-131)放射能の国際比較結果の図
Ref.) G. Ratel, et al., Final report of BIPM.RI(II)-K1.I-131 (additional results for IFIN-HH, KRISS, CMI-IIR, and BEV, Report dated April 2008). ( http://kcdb.bipm.org/AppendixB/appbresults/bipm.ri(ii)-k1.i-131/bipm.ri(ii)-k1.i-131_final_report%203.pdf )
図5 よう素131(I-131)放射能の国際比較結果
図6 バリウム133(Ba-133)放射能の国際比較結果の図
Ref.) A.Yunoki, et al., APMP comparison of the activity measurements of Ba-133 (APMP.RI(II)-K2.Ba-133) and links to the SIR ( http://kcdb.bipm.org/AppendixB/appbresults/bipm.ri(ii)-k1.ba-133/apmp.ri(ii)-k2.ba-133_final_report.pdf )
図6 バリウム133(Ba-133)放射能の国際比較結果
図7は、表面汚染測定や環境放射能測定、食品中放射能測定におけるトレーサビリティがどのように実現されているかを示したものです。
図7 日本国内での放射能計測トレーサビリティの実際の図
図7 日本国内での放射能計測トレーサビリティの実際

2.2 測定方法の規格と技能試験

2.2.1 規格  

JISには、以下に例示するように、計測器、線源、測定方法、校正方法など放射線計測に関連した様々な規格があります。

JIS Z 4329 放射線表面サーベイメータ
JIS Z 4333 X線及びγ線用線量等量率サーベイメータ
JIS Z 4334 放射線表面汚染モニタ校正用線源
JIS Z 4504 放射線表面汚染の測定方法 (ISO 7503)
JIS Z 4511 照射線量測定器、空気カーマ測定器、空気吸収線量測定器及び線量当量測定器の校正方法

これらの規格を適切に用いることで、誰もが容易に正しい測定ができるようになります。(財)日本規格協会のホームページでその他の関連する規格についても調べることができます。

食品を対象とした放射能の測定マニュアルや暫定規制値などの情報は、厚生労働省の報道ページで情報提供がされています。

2.2.2 技能試験 

世界的には、IAEAなどが主催する技能試験として、環境放射能分析プロジェクトがあります。日本からは日本アイソトープ協会や(財)日本分析センターなどがこの技能試験に参加しています。

日本国内でも技能試験が行われています。(財)日本分析センターの環境放射能分析確認調査のページで、都道府県の分析機関との相互比較分析(クロスチェック)が紹介されています。

計測器校正事業者の認定登録制度であるJCSSの中で行われている技能試験については、NITE認定センターのホームページをご覧下さい。