計量標準総合センター : National Metrology Institute of Japan (NMIJ)

  国際単位系  

 



国際計量標準の書庫
 国際計量標準に関わる様々な知識を共有することは、経済・技術のグローバル化を図るための第1歩です。
ここには単位、計量標準、不確かさ、基礎物理定数、計量法などに関する様々な文書とその解説を掲載し、皆さんのご用に供するものです。

国際単位系(SI)についてのサイト
計量標準の単位の統一は、メートル条約の主目的ですが、国際単位系(SI)はこれを実現し、技術分野、国、経済、文化の違いを越えて、そしてまた常に技術革新を捉えることにより、時代をも超えて普遍的な国際計量標準を作り出すための方法手引き書です。
実際、わが国を始めとする先進国においても計量法等によって様々な技術に関する活動において参照されております。計量標準総合センターは国際度量衡委員会と密接な連携をとりながら、その改訂に参画するとともに、常に新しい国際単位系を皆さんにお届けします。

1.1 国際度量衡局(BIPM) SI単位サイトへのリンク
2006年に改訂が行われました。その原文「SI文書」"SI brochure -8th Edition-"は、国際度量衡局(BIPM)ホームページのSI単位のサイトで見ることができます。

1.2 《邦訳 第8版SI文書》
  第8版SI文書の日本語訳「コンサイスサマリー」は、こちら(PDF 157KB)をご覧ください。 [正誤表はこちら]
  第8版SI文書の日本語訳「本文」は、こちら(PDF 530KB)をご覧ください。 [正誤表はこちら]

1.3 SIパンフレット「国際単位系(SI)は世界共通のルールです」 

1.4 計測における不確かさの表現のガイド
定価4,017円(本体3,900円) 詳しくは日本規格協会へ

国際単位系の沿革
 メートル法のもつ完結性・合理性・統一性による優位性は世界で認められ,徐々に受け入れが進んだ。その結果メートル系とされる単位系にも,多くの多様化した,絶対系(物理系)と重力系(工学系),静電系と電磁系,有理系と非有理系,CGS系とMKS系,さらに3元系、4元系、5元系などのような多くの単位系が生まれ様々な不都合が生じた。科学・技術・通商・安全などの計測に関わる諸問題に国際的交流を円滑に進めるために,第9回CGPM(1948)はCIPMに対して,
計量単位の完全な規則の確立を検討すること,
この目的のためにあらゆる国の科学,技術及び教育の各界における意見について公的な調査を開始すること,
メートル条約の全加盟国が採用しやすい一つの実用計量単位系の確立について勧告を行うことを,
指示し,このときCGPMは単位記号の表記についての一般的な原則を定め,その固有の名称をもった諸単位についての一覧表を公布した。さらに第10回CGPM(1954)は六つの量,長さ,時間,電流,熱力学温度及び光度の単位を実用単位系の基本単位として採用し,さらに第14回CGPM(1971)は物質量の単位を実用単位系の基本単位として追加採用した。
 第11回CGPM(1960)はこの実用単位系に,国際単位系“Le Système International d'Unitès”という名称と略称SIを採用し,接頭語,組立単位,以前から採用されていた補助単位についての規則,並びにその他の指示事項を与えた。このようにして計量単位のまとまった規則が確立した。
 今日のSIに至るまでの各歴史的段階での主要な事項は以下のように要約できる。
フランス革命の時代における十進法によるメートル法の創設,引き続き1799年6月22日付けでのメートルとキログラム原器の国立公文書館への保管。
物理学者達の推奨を受けた英国科学振興協会(BASS)による,物理学における一貫性のある単位系として,天文学から定義される秒を合わせたcm,g,sによる三元系単位系としてのCGS単位系とそれら単位の10進の倍量及び分量を与えるマイクロからメガまでの接頭語の導入に関する提案。
第1回CGPM(1889)によるCGS単位系と同様のm,kg,sを基本単位とする力学系の三元MKS単位系の提示。
ジオルジ(Giorgi)(1901)による,アンペア又はオームのような第四の電気系単位を基本単位に加えた一貫性のある有理化四元系単位系の提案。
CIPM(1946)によるメートル,キログラム,秒及びアンペアに基づいた四元系単位系(MKSA単位系)の承認。
第10回CGPM(1954)による長さ(メートル),質量(キログラム),時間(秒),電流(アンペア),熱力学温度(ケルビン),光度(カンデラ)に基づいた六元系国際単位系の採択。
第14回CGPM(1971)に国際純正・応用化学連合(IUPAC)の要請に基づいて,物理化学分野への対応を図るため導入した物質量の単位“モル”の基本単位への追加。
等の変遷を経て,七元系による今日のSIの骨格が定まった。

現在のSIのあらまし
 SIが今日のように広い指示を得るに至った特長は,次の4点と考えられる。
(1) 各分野の基礎となる合理的で信頼度の高い実現性(再現性)をもつSI基本単位が選ばれている。
(2) 組立量の単位(組立単位)が基本単位の乗除だけで組み立てられる一貫性のある単位系(例外的に,セルシウス温度の単位セルシウス度 ℃ は組立単位に位置づけられている)で,各量の単位相互の換算関係に数係数が入り込まず簡明である。
(3) 多数定義されるSI組立単位の中で,22個の単位に固有の名称とその独自の記号を与えている。
(4) SI単位の10-24から1024までの大きさの分量・倍量単位を表すための20個のSI接頭語を導入し,実用上手頃な大きさの単位を作ることができる。
 SIは7つのSI基本単位(表1)と所定の量の定義にしたがってこの基本単位から作られるSI組立単位を構成要素とする集合と,20個のSI接頭語及びそれによって作られる10の整数乗倍の大きさを意味する倍量及び分量単位によって構成される。
表1 基本単位
単位の名称 単位記号
長 さ メートル m
質 量 キログラム kg
時 間 s
電 流 アンペア A
温 度 ケルビン K
物質量 モル mol
光 度 カンデラ cd
 表2はSI組立単位のうちで固有の名称とその独自の記号を与えた量とその単位である。
表2 固有の名称とその独自の記号によるSI組立単位(22個)
単位の名称 単位記号 基本単位による表現
平面角 ラジアン rad m·m-1=1
立体角 ステラジアン sr m2·m-2=1
周波数 ヘルツ Hz s-1
ニュートン N m・kg·s-2
圧力、応力 パスカル Pa m-1·kg·s-2
エネルギー、仕事、熱量 ジュール J m2·kg·s-2
工率、放射束 ワット W m2·kg·s-3
電荷、電気量 クーロン C s·A
電位差(電圧)、起電力 ボルト V m2·kg·s-3·A-1
静電容量 ファラド F m-2·kg-1·s4·A2
電気抵抗 オーム Ω m2·kg·s-3·A-2
コンダクタンス ジーメンス S m-2·kg-1·s3·A2
磁束 ウェーバ Wb m2·kg·s-2·A-1
磁束密度 テスラ T kg·s-2·A-1
インダクタンス ヘンリー H m2·kg·s-2·A-2
セルシウス温度 セルシウス度 K
光束 ルーメン lm m2·m-2·cd = cd・sr
照度 ルクス lx m2·m-4·cd = m-2·cd
(放射性核種の)放射能 ベクレル Bq s-1
吸収線量·カーマ グレイ Gy m2·s-2 (=J/kg)
(各種の)線量当量 シーベルト Sv m2·s-2 (=J/kg)
酵素活性 カタール kat s-1·mol
 これらは単位の使用頻度,歴史的なもの,さらに同じ次元をもつ他の組立単位との明確な区別を考慮して導入されたものである。この表で,平面角の単位ラジアンrad及び立体角の単位ステラジアンsrは長らくSI補助単位として基本単位に準じるものとして位置づけられていたが,第20回CGPM(1995)で平面角,立体角を同じ次元の量(長さ又は面積)の比で表される無次元量に対する組立単位(数字の)1に与える固有の名称及びその独自の単位記号とすることが採択され,第21回CGPM(1999)で酵素活性の単位モル毎秒mol/sを固有の名称カタールとその単位記号katとすることが採択された。上述したように,セルシウス度℃は特別に意味がある。他の組立単位が基本単位の乗除によって導かれるのに対し,熱力学温度TのケルビンKによる値とセルシウス温度t のセルシウス度℃による値は一定数273.15の差をもつように(t/℃=T/K-273.15として)定義されているからである。また温度差を表すときの単位は,Kと℃は全く同じ意味をもっている。
  一般の組立単位の表示には,表2の単位をその中に含むこと(例えば,粘度の単位はパスカル秒Pa·s,力のモーメントの単位はニュートンメートルN·mなど)ができる。
 上記の基本単位及び組立単位はすべてSI単位であるが,その単位で表された数値の大きさを実用的な量として理解するのに便利なようにSIでは,10の整数乗倍の大きさの倍量・分量単位を作るための20個のSI接頭語を与えており表3に示す。
表3 SI接頭語
乗数 接頭語 記号
乗数 接頭語 記号
1024 ヨタ Y
10-1 デシ d
1021 ゼタ Z
10-2 センチ c
1018 エクサ E
10-3 ミリ m
1015 ペタ P
10-6 マイクロ µ
1012 テラ T
10-9 ナノ n
109 ギガ G
10-12 ピコ p
106 メガ M
10-15 フェムト f
103 キロ k
10-18 アト a
102 ヘクト h
10-21 ゼプト z
101 デカ da
10-24 ヨクト y
 SI では一つの量に対して一つの単位だけを採用することを原則としているが,社会通念・歴史的観点から今後ともSI と併用される特別に重要な10個の単位を提示している。また加えて原子物理学及び天文学で用いる3個の単位をSI 単位との換算関係を与えて採用している。これらを纏めて表4に示す。
表4 SIと併用されるがSIに属さない単位
名称 記号 SI単位による値
min 1 min=60 s
h 1 h=60 min=3600 s
d 1 d=24 h=86 400 s
° 1°=(π/180) rad
1′=(1/60)°=(π/10 800) rad
1″=(1/60)′=(π/648 000) rad
リットル l,L 1 L=10-3m3
トン t 1 t=103 kg
ネーパ Np 1 Np=1
ベル B 1 B=(1/2)ln 10(Np)
体積の単位リットルに記号l とLの2つが併用されている。大文字のLは小文字のl と数字の1の混同を避けるために,第16回CGPM (1979)で暫定的に導入され,そのときの決議で,l とLの使用状況を見ながら,どちらか一方を削除することになっているが,その決着を見ないまま現在に至っている。
 SI の使い方はCIPMとISOによって定められているが,実用上のルールは国際規格ISO 1000,日本工業規格JIS Z 8203[国際単位系(SI)及びその使い方]に規定されている。その要点を以下に述べる。
1. 単位記号の使い方
(1) 書体は立体活字(ローマン体)で,人名に由来する場合には記号の最初の文字のみ大文字,他は小文字[例:m, s, cd, N, Pa,Hzなど]とする。
(2) 単位記号には終止符を付けない。複数形も変化しない。ただし文章の終わりに単位が示されるときは終止符があっても良い。
(3) 2つ以上の単位の積で新しい単位を表現する場合は,N·m,N.m,N m のいずれかの記法を用いる。ただし,単位記号と接頭語記号が同じとなるm,T,hが使われる場合は誤解が生じないように注意する。
(4) 単位同士の商の形で新しい単位を表現する場合は次のいずれかの記法を用いる。
  ただし,斜線による記法では,同一行に2つ以上の斜線を入れてはいけない。複雑な構成の単位の場合は負のべき乗又は括弧を用いる。
例: m/s2又はm·s-2      (m/s/sは不適切)
   J/(mol·K)又はJ·mol-1·K-1 (J/mol/Kは不適切)
2. 接頭語の使い方
(1) 接頭語は適当な大きさの単位を作るために自由に選択できる。原則的にはその単位で表される量の値が0.1と1000の間に入るような接頭語を選択する。ただし,同一の量を同じ文章中・論文等での比較・表現する場合はこの原則に従わなくても良い。
(2) 接頭語は1つだけを用い,μμFやmmmのように2つ以上重ねてはならず,pFやnmのように表す。なお質量の単位キログラムkgはすでに接頭語が付いているので,
10-6 kgを示すのに,μkgのようにではなくmgのようにグラムに接頭語を付ける。
(3) 2つ以上の単位を組み合わせて表現する単位にも同様,接頭語を1つだけ用いる。ただし,ISO 1000(及びJIS Z 8203)では分母にあるkgは基本単位であるから,接頭語付きの単位と見なさない。
(4) 接頭語の記号は立体(ローマン体)文字とし,単位記号との間に間隙を置かずに表記する。
(5) 接頭語付きの単位に指数が付されているときは,その指数は1 cm3 = (10-2 m)3 = 10-6 m3,あるいは,1 μs-1 = (10-6 s)-1 = 106 s-1のように,母体となる単位と接頭語の両方に累乗が掛かる。
 以上のルールは固定化されたものでなくより合理的に修正される可能性はある。SI自体も決して完成したものではなく,CIPMの諮問委員会の1つである単位諮問委員会(CCU)は,今日のグローバルな社会の要請にしたがって他の国際的機関と連携しながら,より統一的で合理的な単位系への進化を図るべく活動している。標準の正確さの向上についてもキログラム原器のように物体によらない物理学的現象を利用したより普遍的な標準に向上させるための研究がそれぞれの分野で進められている。例えば電気分野の事実上の標準は,SIで定義される電流のアンペアAでなく,基礎物理定数に基礎を置く量子標準から導かれるジョセフソン効果による電圧のボルトV,量子ホール抵抗によるオームΩによって標準が設定されている。
「計量標準100周年記念誌 1.4 現在の国際単位系(SI)」より

International System of Units (SI) (NISTのホームページ)