計量標準総合センター : National Metrology Institute of Japan (NMIJ)

基本単位の標準 ( 物 質 量 )

モルの定義

 物質量の単位、モル(mol)は、「0.012キログラム(kg)の炭素12の中に存在する原子の数に等しい要素粒子を含む系の物質量」と定義されています。当所では、SI単位(kg, mol等)にトレーサブルな化学計測に重きを置いており、国際度量衡委員会/物質量諮問委員会が主催する多くの国際比較に参加しています。
右図は、底質中のカドミウムの定量に関する国際比較の結果です。当所が測定した結果は、基幹比較参照値に近く、大変優れたものでした。SIにトレーサブルな結果を与えうる計測方法を、一次標準測定法と呼んでいます。同位体希釈質量分析法、電量分析法、重量分析法、滴定法、凝固点降下法がそれに該当します。この国際比較には、同位体希釈質量分析法を用いて参加しました。
底質中のカドミニウムの定量に関する国際比較の結果
底質中のカドミニウムの定量に関する国際比較の結果

電量滴定法

 電量滴定法は、ファラデーの法則に基づく方法です。これは、電気量、質量、時間の標準およびファラデー定数を使って、物質量(モル)を正確に決定できる手法であり、標準物質を全く使わないという特色・利点があります。これまでに、酸化アンチモン(V)中のアンチモン(V)、塩化アンモニウム中のアンモニウムイオンの定量に、電量滴定法を適用してきました。最近では、ほう素標準液の原料物質であるほう酸の純度を、電量中和滴定法により決定しました。また、pH標準の確立のためには、塩酸濃度も重要な要因であり、その濃度決定にも電量中和滴定法を用いています。 電量滴定装置の模式図
電量滴定装置の模式図

凝固点降下法

 凝固点降下法は、試料中に存在する不純物が凝固点を下げる効果を利用しています。試料(高純度物質)の凝固点降下度を精密に測定することにより、純度もしくは濃度の標準を用いることなく、試料中の不純物の総量が求まり、純度を決定することができます。右は当所が開発した断熱型熱量計で、凝固点降下法による純度決定が可能な装置です。この装置を利用して、環境計測に用いられる高純度有機化合物(標準液や標準ガスの成分物質)の純度を決定するとともに、認証標準物質として供給しています。 断熱型熱量計
断熱型熱量計


モルの定義: 1. モルは、0.012 キログラムの炭素 12 の中に存在する原子の数に等しい数の要素粒子を含む系の物質量であり、単位の記号はmol である。
2. モルを用いるとき、要素粒子が指定されなければならないが、それは原子、分子、イオン、電子、その他の粒子又はこの種の粒子の特定の集合体であってよい。(第14回CGPM、1971)
モルの定義の補則: この定義の中で、炭素 12 の原子は結合しておらず、静止しており、基底状態にあるものを基準とすることが想定されている。(CIPM、1980)